06 — FACTORY JOURNAL
真鍮と木を組み合わせる日。
異なる素材が一つになる、その境目を静かに整えた一日です。
朝の作業台に、真鍮と木を並べました。触れた瞬間に冷たさを返す金属と、手の温度をゆっくり受け止める木。性質の違う二つの素材を、どこで出会わせるかを考える一日です。
真鍮には確かな重さがあり、形を支える強さがあります。木には一本ごとに異なる木目があり、時間とともに色も手触りも変わります。どちらかを主役にして片方を隠すのではなく、二つが触れる境界に、それぞれの良さを残したいと思いました。

木の受けを少し削り、真鍮の面を整えて、そっと重ねます。見た目に隙間がなくても、指を滑らせると小さな段差が分かります。ヤスリを数回動かしては手を止め、もう一度触れる。その繰り返しで、硬い金属と柔らかな木の高さを揃えていきました。
削る力も、同じではありません。真鍮へ向ける力をそのまま木へ加えれば、木目の端が崩れてしまいます。素材が変わる境目で呼吸を置き、道具の角度と指の力を変える。手の中で二つの素材が教えてくれることに耳を澄ませます。

午後には、木の種類と真鍮の厚みを変えた試作品がいくつも並びました。軽いもの、重さが手元へ集まるもの、境界が少しだけ目立つもの。正解を数字だけで決めず、持ち上げ、置き、また触れて比べます。
照明が落ちるころ、金属の重さと木の温もりが、ようやく一つの形の中に収まりました。素材の違いを消したわけではありません。違うまま隣り合い、その境目が心地よく感じられる場所を見つけたのです。
作業台には細かな削り屑と、まだ使わなかった部品が残っています。今日見つけた境界を覚えておき、明日はその先の形を整えます。