06 — FACTORY JOURNAL
新しい治具を試作。
ほんのわずかな違いを確かめるために、今日も試作を繰り返しました。
朝、作業台に設計図を広げました。前の日に残した鉛筆の線を見直し、真鍮のパーツと木材を並べます。頭の中にある形を、手で触れられるものへ変えていく一日の始まりです。
今回つくるのは、同じ位置へ正確に穴を開けるための小さな治具。製品になれば表から見えることはありません。それでも、毎回の仕事を支え、仕上がりを揃えるためには欠かせない道具です。使う手の動きを思い浮かべながら、最初の寸法を決めました。

測って、印を付け、削る。仮組みをして動かしてみると、図面の上では見えなかった小さな引っかかりが指先に残りました。ほんの数ミリ位置を変え、角度を整え、もう一度組み直します。削りすぎれば元には戻せないため、手を止める時間も仕事のうちです。
一つ目は少し重く、二つ目は動きが軽すぎました。三つ目でようやく求めていた感触に近づきます。同じように見える試作品を机へ並べると、それぞれに今日考えた跡が残っていました。

夕方の照明の下で、改めてすべての寸法を測ります。数字が合っていることと、使いやすいことは、必ずしも同じではありません。握ったときの重さ、置いたときの安定、次の動作へ移るときの自然さを、一つずつ確かめました。
今日は完成まで届きませんでした。けれど、うまくいかなかった形が、次に削るべき場所を教えてくれます。失敗した試作も片づけず、図面のそばに残しました。それは遠回りではなく、答えへ近づいた順番そのものです。
道具を置くころ、朝より少しだけ輪郭が見えていました。明日また、この続きから始めます。